韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が2024年12月3日22時頃に「非常戒厳」を発令しました。
このニュースは全世界に瞬く間に広がり大きな話題になりましたね。
しかし、この「非常戒厳」とはそもそも何か、なぜ発令されたか、知らない人が多いのではないでしょうか。
ニュースを見てもいまいちパッとわかりません。今回はかなり噛み砕いてわかりやすく解説しようと思います。
非常戒厳とは何?
非常戒厳とは、国家が非常事態に陥った際に、憲法上の権利を一部制限し、軍隊が行政権の一部または全部を行使する制度です。具体的には、集会・デモの禁止、言論の統制、通信の遮断などが行われることがあります。
韓国の憲法では、戦争などの国家の非常事態に公共の秩序を維持する目的で、市民の権利を厳しく制限する「戒厳」を大統領が宣言できるとしていて、市民の活動などが軍の統制下に置かれます。
つまり非常戒厳が宣言されると、一般的に軍の権限が大幅に拡大し、行政や司法の機能を軍が握るようです。
非常戒厳は大統領によって宣言されるのですが、実際の宣言がなされるときはどんな時が一般的なのでしょうか。
非常戒厳の実態
非常戒厳は、国家が非常事態に陥った際に、社会秩序を維持するために用いられる手段のようですね。しかし一般人にとっては個人の自由や権利が制限されてしまうためかなり怖いことです。
過去の非常戒厳の例
韓国では何と44年ぶりの非常戒厳のようです。
1987年に民主化されてからは初めての戒厳令であり、前回の戒厳令は1980年5月17日に布告されました。この時の戒厳令の理由は何でしょうか?
このときは、言論の統制(批判的な報道が厳しく規制され、言論の自由が制限)や集会・デモの禁止、大学の閉鎖、武力を行使して鎮圧などが行われたようです。
詳しく知りたい方はWikipediaをご覧ください。
また過去にも多くの戒厳令を布告されています。
1948年10月21日 – 1949年2月5日、麗順叛乱事件の勃発に伴い麗水・順天地域限定で戒厳が布告。
1948年11月17日 – 1948年12月31日、4・3事件の勃発に伴い済州島地域限定で戒厳が布告。
1952年5月25日 – 1952年7月28日、釜山政治波動に伴い慶尚南道・全羅南道地域限定で戒厳が布告。
1960年4月19日 – 1960年7月16日、四月革命の勃発に伴いソウル特別市地域限定で戒厳が布告。
1961年5月16日 – 1962年12月6日、5・16軍事クーデターの勃発に伴い韓国の全地域に戒厳が布告。
1964年6月3日 – 1964年7月29日、日韓会談の反対デモに伴い戒厳が布告。
1972年10月17日 – 1972年12月13日、朴正煕政権による十月維新に伴い戒厳が布告(国会の解散と政党による政治活動禁止を内容とする特別宣言も同時に発表)。
1979年10月18日 – 1981年1月24日、釜馬事件の勃発に伴い釜山直轄市地域限定で戒厳が布告Wikipediaより引用
日本での戒厳令は?
1889年(明治22年)2月11日に公布された大日本帝国憲法の第14条において、「天皇は戒厳を宣告す。戒厳の要件及効力は法律を以て之を定む」とし、憲法の体系に組み込まれた。
日本にも以前はあったようですが、現行法では戒厳令に相当する法令は存在していないようです。
今回の戒厳令の理由とは?
政府官僚への弾劾を連発し、予算までも政争の手段として利用し、国政を麻痺させる野党・共に民主党の反国家行為に対し、自由憲政秩序を守るため
とされています。
これにより一切の政治活動が禁止され、部隊投入をし国会議事堂の入り口を封鎖しで議員が入れない状態になりました。
またメディアや出版の統制、ストライキや集会行為の禁止がなされていました。
原因はねじれ国会と言われるもので野党会派が議席の過半数を占めてしまい、大統領がやりたい政策ができなくなってしまう!といったことでした。
しかし6時間後には一変して非常戒厳令は解除されています。
大統領としてはなんとか事態を打開しようとしたのだろうが、おそらく想定を超えるような反発があったため、まさに急転直下で撤回せざるを得なくなったのだと思う。未明に開かれた国会で、非常戒厳を解除するよう求めた決議案には、出席した議員190人全員が賛成し、全会一致で可決された。野党はもちろん大統領を支えるはずの与党からも反発が相次ぎ、ユン大統領は午前4時半に会見して閣議を開いて非常戒厳を解除すると発表した。実はこの午前4時半の会見の際、閣議を開くために必要なメンバーがそろっていなかった。それほど緊急の対応だったといえる。
NHKより引用
大統領の支持率は先月の調査で17%と就任以来過去最低となり、また大統領夫人にも数々の疑惑も取り沙汰されており超ピンチといった状況ですね。
韓国旅行は大丈夫なの?
以下の動画は韓国に住むインフルエンサーなのですが、現在では普通に出勤して普通の生活を送っているという状況のようです。
旅行はキャンセルするまでもないのかな、とおっしゃっています。
しかし絶対安全というわけでもないし何が起こるかわからないということでご自身の判断になるかと思います。
一意見や特定の場所での実態かもしれません。詳細は旅行代理店や政府広報など詳細を確認してください。
4日朝の福岡空港(福岡市)。韓国に向かう便の出発ロビーでは、大きな混乱は見られなかった。2泊3日で韓国に出発するという福岡市の会社員(24)は、インターネットで戒厳令を知ったが、現地の韓国人の友人とやり取りして出発を決めた。「友人たちと現地を回る予定だが、少し心配だ。夜は出歩かないようにしたい」と気を引き締めた。
Yahoo!ニュースより引用
空港でも大きな混乱などはなく出発されたようです。
まとめ
非常戒厳について調べ、多くのメディアから情報を取りまとめました。
ただ全てが正しいとは限らないので参考程度にしていただけますと幸いです。
韓国の方にとっても寝耳に水であった非常戒厳でした。
旅行を躊躇っている方も、これから行こうとしている方も、実際に出発した方の意見や現地に住む方の意見を取り入れて考えてみるといいかもしれませんね。
結構TikTokではいろんな方が現地の状況を教えてくれているようです。
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