献体の解剖に関する新しい倫理指針が制定されるというニュースがありました。
この背景には、2024年12月に海外での解剖研修中に献体を背景にピースサインをしている写真をSNSに投稿した美容外科医の事例があります。
この行為は倫理観に欠けると批判を浴び、社会的な議論を呼びました。
今回の指針では、献体に対する敬意と、個人情報保護の重要性が改めて強調されています。
過去の女医の事例
2024年12月、海外で解剖の研修を受けていた美容外科の女医が、献体を背景にピースサインをしている写真をSNSに投稿しました。
この行為は「ありえない」「献体に対する敬意がない」と批判が殺到し、女医は謝罪しました。
- 東京を中心に展開する美容外科グループに所属する女性医師が、アメリカ・グアムでの解剖研修中に撮影した写真を自身のSNSとブログに投稿しました。
- 投稿された写真には、献体と思われる遺体が複数並んでいる様子や、医師自身が献体を背景にピースサインをしているものが含まれていました。
- 写真には一部モザイク処理が施されていましたが、「頭部がたくさん並んでいるよ」というテキストや笑顔の絵文字が添えられていました。

- 投稿はSNSで拡散し、医療関係者や一般から強い批判を浴びた。
- 献体への敬意欠如、倫理観欠如、個人情報保護軽視。
- 「ありえない」「不謹慎」「医療従事者としての自覚がない」など厳しい意見が相次ぎ、炎上。
一般社団法人「日本外科学会・日本解剖学会」が作成した「臨床医学の教育及び研究における死体解剖のガイドライン」によりますと、遺体による手術手技の研修実施に際して、以下の点が基本姿勢として挙げられています。
- 献体者の意思を十分に尊重すること
- 日本特有の倫理観、死生観、宗教観にも十分に配慮すること
- 遺体に対して常に敬意を払うこと
今回の事例では、これらの基本姿勢が著しく欠如していたと考えられます。まず、献体者の意思です。献体は、医学の発展のために自らの遺体を無償で提供するという尊い行為です。献体者は、自身の遺体が医学教育や研究に役立てられることを願い、提供しています。しかし、今回の投稿は、献体者の尊厳を軽視し、その意思を踏みにじる行為と言わざるを得ません。
次に、倫理観、死生観、宗教観への配慮です。日本では、古くから死者に対する敬意を重んじる文化があります。献体は、単なる医学的な教材ではなく、故人の尊厳を尊重すべき存在です。しかし、今回の投稿は、軽率な態度で献体を扱い、多くの人々の感情を害しました。
そして、遺体への敬意です。解剖は、医学教育や研究において不可欠な行為ですが、それはあくまでも学術的な目的においてのみ許されるものです。今回の投稿は、解剖の様子を娯楽のように扱い、遺体への敬意を著しく欠いていました。
倫理指針の内容
美容外科医による献体写真のSNS投稿が社会的な批判を浴びたことを受け、献体の解剖に関する倫理指針が新たに制定されることになりました。
今回の指針では、献体に対する敬意と個人情報保護の重要性が改めて強調されています。
「SNSなどを使って解剖の経験・見聞を発信してはいけない」
近年、スマートフォンやSNSの普及により、献体や人体標本が教育・研究目的以外でインターネット上に流出する事例が相次いでいました。
今回の指針は、こうした状況に対応し、献体者の尊厳を守ることを目的としています。
指針では、SNSでの情報発信禁止に加え、解剖実習室内へのスマートフォン持ち込みの制限や、第三者への情報共有の制限など、具体的な行動規範が示されています。
これにより、解剖に携わる学生や医師は、より一層高い倫理観を持って献体に向き合うことが求められます。
最後に
今回の倫理指針の制定は、献体に関わる全ての人々にとって、重要な意味を持ちます。医学教育や研究の発展に不可欠な献体は、提供者の尊い意思によって成り立っています。
この指針が、献体に対する敬意と倫理観を改めて社会に浸透させ、より良い医療の未来へと繋がることを願います。
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